【眼科の予防医療:ものが「ゆがんで」見えたら】
◯ 加齢黄斑変性は、「ものを見る中心」である黄斑が傷んでいく病気です。
◯ 50歳以上の方に多く、日本でも視覚障害の主要な原因のひとつです。
◯ 片目ずつ確認しないと気づきにくく、発見が遅れることがあります。
✔ 「ゆがむ」「中心が暗い」と感じたら、片目を隠して確認してみてください。
✔ OCT(光干渉断層計)・OCTアンギオグラフィーで、負担の少ない検査ができます。
黄斑(おうはん)とは
網膜の中心にある、「ものを見る」ためにいちばん大事な部分が黄斑です。
文字を読む・顔を見分ける・色を感じる、いずれも黄斑の働きです。
黄斑が傷むと、視野の中心が見えにくくなり、日常生活に大きく影響します。

加齢黄斑変性とは
加齢にともなって黄斑に老廃物がたまり、黄斑が傷んでいく病気です。
大きく2つのタイプがあります。
- 「滲出型」:黄斑の下に異常な血管(脈絡膜新生血管)が生えて、出血やむくみを起こすタイプ。進行が比較的速く、治療の中心となるタイプです。
- 「萎縮型」:黄斑の組織がゆっくりと痩せていくタイプ。進行はゆるやかですが、定期的な経過観察が大切です。
近年は、脈絡膜(網膜の外側の血管の層)の厚みが病態に関わるという考え方(パキコロイド)も注目されており、疾患の理解は年々深まっています。
症状:「ゆがむ」「中心が暗い」
・ものがゆがんで見える(変視症):障子の桟やタイルの目地が波打って見える
・視野の真ん中が暗い・欠ける(中心暗点)
・視力の低下
両目で見ていると、もう片方の目が補ってしまい、なかなか気づけません。
ときどき片目を隠して、カレンダーや格子模様がゆがんで見えないか確認してみてください。
診断:負担の少ない画像検査
OCT(光干渉断層計)で黄斑の断面を、OCTアンギオグラフィー(OCTA)で造影剤を使わずに異常血管の有無を確認します。
散瞳(瞳を開く目薬)の負担が少ない超広角眼底撮影も併用し、すべての画像を患者さんの目の前のモニターに映してご説明します。


治療:この20年で大きく変わりました
かつて加齢黄斑変性は有効な治療法のない病気でしたが、2003年に光線力学療法(PDT)、2008年に抗VEGF薬の硝子体注射が使えるようになり、治療の考え方は大きく変わりました。
現在、滲出型の治療の中心は抗VEGF薬の硝子体注射です。
治療が必要な場合は、九州大学眼科および関連施設と連携して診療をすすめます。
治療後の経過観察・定期チェックは当院で継続できます。

予防と生活:できることがあります
・喫煙は、加齢黄斑変性のはっきりしたリスク因子です。禁煙をおすすめします。
・緑黄色野菜を含むバランスのよい食事が勧められています。サプリメントの適応についてもご相談ください。
・片目チェックを習慣に。「ゆがみ」に早く気づくことが、治療の選択肢を拡げます。

早期発見のために
自覚症状が出る前の変化は、眼底検査・OCTでみつかることがあります。
50歳を過ぎたら、定期的な眼底のチェックをおすすめします。

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