「近視ブーム」

60年前は10-20%だった近視人口が、中国では90%、韓国ソウルでは19歳の96.5%にまで増えているとの記載がありました。2015年Nature誌のご紹介です:

目次

The myopia boom(近視ブーム)

Nature 519, 276–278 (19 March 2015)

The march of myopia(近視の行列行進)

* 近視が著増しています。

メガネかコンタクトレンズをかける必要があるため近視は不便、というだけではありません。

強度近視では眼の奥行き(眼軸長)が伸びて眼球の内側の網膜が引き伸ばされた結果、
成人になった後に網膜剥離・緑内障・白内障・網膜変性などを発症し、ときには失明に至ることもあります(病的近視)。

「遺伝よりも、環境要因が大きい」

現代のこどもたちは、本を読んだり、勉強をしたり以外に、
コンピュータやスマートフォンをみることも多くなりました。

15歳で:上海のこどもは勉強に14時間、イギリスでは5時間、アメリカでは6時間 費やしています。日本は?

イスラエルではYeshivas(神学院)で熱心に勉強したこどもほど近視になったことが、1990年台に報告されています。

近くをみるときには眼の調節が強く働いて網膜に光をあわせる
:この反応が、眼軸長を伸ばすことにつながります。

カリフォルニアのこども500人・シドニーのこども4000人の調査の結果より

やはり、外で遊ぶ子の方が近視になりにくいようです。

留学中の友人たち:イスラエル人・アメリカ人・中国人・韓国人・スペイン人・ベネズエラ人・キューバ人など
を思い返してみても、上述のことがわかる気がします。

中国・韓国からの友人はほぼ皆が近視だったようです。

強度近視/日中韓眼科ミーティング

「明るさも、近視進行に関係する」

外の明るい光の中で過ごしたニワトリは、室内の明かりで過ごしたニワトリよりも60%も近視進行が抑制されたという実験が紹介されています。

網膜で光を認識する「視細胞」は、

夜は杆体、昼は錐体中心にはたらくことが知られています。

家にいる時間が長くなるとこのサイクルがこわれ、眼軸長の伸び(=近視)につながると考えられはじめています。

「外で活動する」

→ 光を十分に浴びて、遠くを見る時間が長い

:近視の抑制につながると考えられます。

本文中2番めのイラストより:

Keep myopia away, go outdoors and play!

(お外で遊んで、近視にならないようにしようね!)
/目はとっても貴重、大事にしようね!
・ボール遊び
・散歩
・グランドで思いっきり遊ぶ
 その他、毎日お外で遊ぶ時間をたくさんつくりましょう。

そして、
・コンピューターゲーム
・携帯ゲーム、スマートフォンのゲーム
 の時間を少なくしましょう。

勉強やPC作業、創作活動と目

○ ○ ○

こどもの近視を減らすために:いまできることは

「こどもの近視を減らしたい」

いまは本気で考える日々です、

環境要因を改善する他に いまわたしたちができることは、

・希釈アトロピン点眼: “ピント調節緊張の緩和”
オルソケラトロジー: “網膜にピントが合った日中の時間をつくる方法”

が、主体になっています。

こどもの近視

オルソケラトロジーは、以前よりも安全性・有効性が確立されたものになってきました。

十分に説明を受け理解した上で、医師/患者さん双方が細心の注意を共有して使用するべき治療です。

たける眼科 では、GW連休明けよりオルソケラトロジーを導入できるよう現在準備中です。

どうぞご相談ください。よろしくお願い致します。

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