弱視の原因(こどもの目の発達)


赤ちゃんは生まれてからたくさんのものを見て、見える力を育てていきます。

網膜に入った光は、頭の後ろ(大脳皮質後頭葉の一次視覚野)へ伝わり、情報を処理する能力が育ちます。
:網膜からの情報が、神経細胞のシナプスをつなげていきます。

「弱視」とは、
目の成長期に何らかの要因があり、
“ものをみる能力が育っていない状態”になっていることを、あらわす言葉です。

(注意事項)
ロービジョンとは、全く意味が異なります。

目次

弱視の原因(こどもの目の発達)

屈折(目の度数)に極端な異常がある場合

生まれたばかりの赤ちゃんの目の奥行き(眼軸長)は短く(=遠視)、成長するにつれて伸びていきます(=近視)。

主に強い遠視がある場合、網膜にうつる像はぼやけたままになってしまいます。

多くの弱視の原因となっています。

黒目(角膜)のゆがみが強い場合(乱視)、

眼軸長が伸びている状態が強い場合(近視)も、弱視を引き起こすことがあります。

=屈折異常弱視

目の位置に異常がある場合

ものをみるときには、網膜の中心部「中心窩(ちゅうしんか)」に光をあてています。

眼球の周りに付着する6本の筋肉(眼筋)を使って、目的を中心窩でみるべく両目を動かしています。

✔ 眼筋:上直筋・下直筋・上斜筋・下斜筋・内直筋・外直筋

眼球運動をコントロールするのは、脳から伸びてきた細い神経です。

✔ 眼球運動に関わる神経:滑車神経(上斜筋)・外転神経(外直筋)・動眼神経(上直筋・下直筋・下斜筋・内直筋)

何らかの原因で片方の目の動きが不自由となる「斜視」

:中心窩でものをみていない目は、弱視になってしまう可能性があります。

=斜視弱視

視界をさえぎってしまうものがある場合

黒目(角膜)に濁りがある:角膜混濁

水晶体に濁りがある:先天白内障

まぶたが下がっている:先天性眼瞼下垂

こども・赤ちゃんに眼帯をした

以上の理由で弱視になってしまうことがあります。

=形態覚遮断弱視(けいたいかくしゃだんじゃくし)

弱視をなおすタイムリミット・早期発見の重要性

網膜からの情報を得て 神経がシナプスでつながっていく過程で、

ある時期がピークとなる「臨界期」があります。

3歳~3歳半までに70%程度のこどもが、おとなと同じ程度の視力になります。

そのため、早くみつけることがとても重要。

弱視をなおすタイムリミット:8歳~10歳くらいまでは、治療可能なことがあります。

こどもの目の検査は、視能訓練士がおこないます。
検査に慣れるまで、複数回の来院を要することもあります。

メガネをかけた状態で1.0の視力を出すこと、
両眼で正常なみえかた(立体視・融像)を得ること

以上が、弱視の治療の目標です。

3歳児検診・就学前検診などで、見逃されてしまっていることもあるようです。

(公益社団法人日本眼科医会 動画より)

『50人に1人が弱視。3歳児健診で発見すれば治療が可能です』

50人に1人とされる子どもの弱視は、3歳児健診で発見すれば治療が可能ですが、自覚症状がなかったり、家庭での検査が難しいことから、残念ながら見逃されてしまったり、治療時期のリミットを越えてしまうことが課題となっています。そのため、「弱視を見逃さない」を「新しい常識」として社会に広く伝え、早期発見につなぐことを目指します。

◆【弱視治療のカギは3歳児健診】  子どもの視力は、3歳頃までに急速に発達し、6~8歳頃までに完成するとされています。3歳児健診で弱視を発見できれば治療によってほとんどの場合で十分な視力が得られます。

◆【弱視とは】  遠視や乱視などの屈折異常や斜視などで「視力の発達が障害された状態」のことを指します。50人に1人いるとされています。

◆【弱視を発見するには】  3歳児健診で、屈折検査、斜視検査を受けることが最初の一歩。家庭での視力検査だけでは弱視の見逃しが起こり得ます。片目ずつ隠して検査をし、両目とも視力が良いと思っても、実は見えている方の目で「のぞき見」している可能性があります。

◆【弱視の治療】  目指すのは眼鏡をかけて8歳頃までに1.0の視力を得ること。屈折検査や斜視検査、眼科医の診察などを経て、眼鏡装用と健眼遮閉などの治療を行います。 日本眼科医会は、全世代における持続性・連続性のある目のケアを推進しており、その一環として今年度から「3歳児健診の在り方委員会」を設置し、子どもたちの目を守る活動に注力しています。

監修:公益社団法人 日本眼科医

協力:東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究部

©Crevo https://www.gankaikai.or.jp/

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